ヤマジオウ(山地黄、学名: Ajugoides humilis (Miq.) Makino)は、シソ科ヤマジオウ属に分類される多年草の1種。シノニムがLamium humile (Miq.) Maxim.で、広義のオドリコソウ属として扱われることもある。種小名のhumilisは、小さいを意味する。和名は葉がゴマノハグサ科のジオウに似ていることに由来する。

特徴

地下茎を長く地中にのばして繁殖する。茎は高さ5-10 cmになり、下向きの白毛があり、枝分かれしない。葉は倒卵形で長さ3-7 cm、幅2-5 cm、先は円く、あらい鋸歯があり、基部はくさび形でごく短い葉柄があり、ほぼロゼット状に並んで、裏面の脈上および表面に斜上毛があり、表面にしわがあり、2-3対が茎の上部につく。

茎の先端部の葉腋に薄淡紅色の花を1-数個つける。花冠は長さ1.5-1.8 cm、外面に毛が多く、花喉部にも毛があり、筒部は湾曲せず、下唇は5-6 mmで開出する。上唇は直立し、下唇は3裂する。萼は長さ7-8 mmで5中裂し、毛が多い。花期は8月。果実は4分果、長さ約2 mm、鋭い3稜がある。

日本産オドリコソウ属(広義)の染色体基本数はx=9であることが知られていたが、基本数が複数存在していることが明らかになり、本種ではx=17も知られている。染色体数および核型式は2n=34=26m 8sm。

分布と生育環境

日本の固有種で、本州(神奈川県以西の太平洋側)、四国、九州に分布する。

山地の林内の木陰に生育する。

種の保全状況評価

日本では環境省による国レベルのレッドリストの指定を受けていないが、以下の都道府県でレッドリストの指定を受けている。

  • 絶滅危惧IA類(CR) - 東京都西多摩
  • Aランク - 兵庫県
  • 絶滅危惧IB類(EN) - 長野県
  • 準絶滅危惧 - 大阪府
  • 分布特性上重要な種 - 鹿児島県

脚注

参考文献

  • 門田裕一、畔上能力、永田芳男、菱山忠三郎、西田尚道『山に咲く花』(増補改訂新版)山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2013年3月30日。ISBN 978-4635070218。 
  • 佐竹義輔、大井次三郎、北村四郎、亘理俊次、冨成忠夫 編『日本の野生植物 草本Ⅲ合弁花類』平凡社、1981年10月。ISBN 4582535038。 
  • 牧野富太郎、本田正次『原色牧野植物大図鑑』北隆館、1982年7月。ASIN B000J6X3ZE。 NCID BN00811290。全国書誌番号:85032603。https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001728467。 
  • 三浦憲人、岩坪美兼、「日本産オドリコソウ属(広義)の細胞分類学的研究」『植物地理・分類研究』第59巻第1号、植物地理・分類学会、2011年12月、17-19頁、doi:10.24517/00053451、NAID 120006580642。 

外部リンク

  • ヤマジオウの標本 国立科学博物館標本・資料統合データベース
  • ヤマジオウの標本(1947年7月1日に愛知県南設楽郡鳳来町で採集) 島根大学生物資源科学部デジタル標本館
  • Ajugoides humilis (Miq.) Makino (The Plant List)(英語)

ヤマジオウ(シソ科)

ヤマジオウ

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