金 明輝(キン ミョンヒ、김명휘、1981年5月8日 - )は、兵庫県伊丹市出身の元サッカー選手、サッカー指導者。在日韓国人。現役時のポジションはディフェンダー。

来歴

幼稚班と初級部は伊丹朝鮮初級、中級部は尼崎朝鮮中級に通った。初級部の頃からプロのサッカー選手を目指しており、全国高校サッカー選手権大会への出場を強く望むようになった。中学3年生の時、朝鮮高校に選手権への出場が認められることが決まったが、高校3年生まで出場できるかは不透明だった。迷った末、「どうしても選手権に出たい」との思いを貫き、初芝橋本に進学することにした。

2000年にジェフユナイテッド市原でプロサッカー選手としてのキャリアを開始。数クラブを渡り歩いたのち、2011年シーズンをもって現役を引退。翌年サガン鳥栖のスクールコーチに就任し指導者の道に進んだ。U-15のコーチと監督を計3年間務めた後、2016年にU-18監督に就任。2017年・2018年とプリンスリーグ九州連覇に導いた。2018年8月よりトップチームコーチを兼任していたが、10月18日にマッシモ・フィッカデンティが辞任したことを受け、後任としてトップチーム監督に就任すると、就任後から最終節までの5試合で3勝2分と無敗の成績を残し、チームをJ1残留に導いた。朝鮮学校卒業生として初めてJ1クラブの監督に就任した。

2019年は監督の座をルイス・カレーラスに譲り、再びトップチームコーチに就任した。5月4日の大分トリニータ戦でカレーラスに代わって指揮を執り、5月7日に正式に監督に就任した。 チームを見事に再建し、またも残留に導いた。

2020年8月12日、チーム内で新型コロナウイルスのクラスター感染が発生、自らも陽性判定を受け、チームは2週間の活動休止を余儀なくされた。活動再開後間もなく迎えた9月中の8連戦で、3勝2分3敗という成績を残したことが評価され、同月度の月間優秀監督賞を受賞した。

2021年には限られた戦力を最大限に活かし、クラブを4年ぶりの一桁順位である7位まで導いたものの、同年12月20日、監督を退任した。

同月30日、Jリーグは以前に複数の告発を受けて、金による選手・スタッフに対するハラスメントの調査を行った結果を報告し、金について「鳥栖U-18を指揮していた2016年から18年にかけて、同チームおよびトップチームの選手やスタッフに対し、暴力行為や暴言を繰り返していた。その結果、多数のチーム関係者が深刻な精神的ダメージを受けるなどの被害が生じた」とパワーハラスメント行為を認定。そのうえで金に対し「JFA指導者に関する規則」第20条第7号の「暴言・暴力及びハラスメント行為を行わない」行為に違反したとして、公式試合への出場資格停止8試合、又は8試合に相当する期間の経過(公式試合に参加する立場の役職に就いていない場合は、公式試合8試合に相当する期間(2022年2月19日から3月26日まで)の経過をもって公式試合8試合の出場の資格停止を消化したものとみなす)と譴責処分を決定した。

2022年3月10日、日本サッカー協会(JFA)からの処分として、JFA 公認S級コーチからA級コーチジェネラルへの降級が発表された。パワーハラスメントによる暴行の回数や未成年へ被害が及んでいたことを勘案したもので、S級からA級への降格は制度初の処分。また、JFAの定める研修、社会奉仕活動を科すことを発表した。

2022年11月14日、FC町田ゼルビアのヘッドコーチに就任した。 ヘッドコーチとして黒田剛監督の下、2023年のJ1初昇格、2024年の3位進出の大躍進を支えた。

2024年12月13日、町田のヘッドコーチを退き、アビスパ福岡の監督に就任することが発表された。しかし鳥栖時代のパワハラ行為に由来する拒絶反応が一部から起こり、2011年からクラブのスポンサーを続けてきたふくやが2025年1月31日付でスポンサー契約満了を発表する事態に発展した。

所属クラブ

  • 1988年 - 1994年 伊丹朝鮮初級学校
  • 1994年 - 1997年 尼崎朝鮮初中級学校
  • 1997年 - 1999年 初芝橋本高等学校
  • 2000年 - 2001年 ジェフユナイテッド市原
    • 2000年 ヴァンフォーレ甲府(期限付き移籍)
  • 2002年 城南一和天馬
  • 2003年 - 2006年10月 佐川急便大阪SC
  • 2006年10月 - 同年12月 バンディオンセ神戸
  • 2007年 北陸電力サッカー部アローズ北陸
  • 2008年 - 2010年 カターレ富山
  • 2011年 サガン鳥栖

個人成績

  • Jリーグ初出場 - 2000年8月6日 J2 第27節 水戸ホーリーホック戦 (山梨県富士北麓公園陸上競技場)
  • Jリーグ初得点 - 2009年4月12日 J2 第7節 コンサドーレ札幌戦 (札幌ドーム)

指導歴

  • 2012年 - 2021年 サガン鳥栖
    • 2012年 アカデミースタッフ (スクールコーチ)
    • 2013年 U-15 コーチ
    • 2014年 - 2015年 U-15 監督
    • 2016年 - 2018年10月 U-18 監督
      • 2018年8月 - 同年10月 コーチ (兼任)
    • 2018年10月 - 同年12月 監督
    • 2019年1月 - 2019年5月 コーチ
    • 2019年5月 - 2021年12月 監督
  • 2023年 - 2024年 FC町田ゼルビア ヘッドコーチ
  • 2025年 - アビスパ福岡 監督

監督成績

  • 2018年は第30節からの指揮
  • 2019年は第10節に代行、第11節より正式に指揮

タイトル

選手時代

城南一和天馬
  • Kリーグ1:1回(2002年)

監督時代

サガン鳥栖U-15
  • 九州ユース (U-15)サッカーリーグ:2回(2014年、2015年)
サガン鳥栖U-18
  • 高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ九州:2回(2017年、2018年)

個人

  • J1リーグ・月間優秀監督賞 : 1回(2020年9月)

脚注・注釈

脚注

注釈

関連項目

  • 兵庫県出身の人物一覧
  • ジェフユナイテッド市原・千葉の選手一覧
  • ヴァンフォーレ甲府の選手一覧
  • カターレ富山の選手一覧
  • サガン鳥栖の選手一覧
  • Jリーグ監督経験者

外部リンク

  • 金明輝 - Soccerway.com (英語)
  • 金明輝 - FootballDatabase.eu (英語)
  • 金明輝 - Transfermarkt.comによる選手データ (英語)
  • 金明輝 - Transfermarkt.comによる指導者データ (英語)
  • 金明輝 - J.League Data Siteによる選手データ
  • 金明輝 - J.League Data Siteによる監督データ
  • 金明輝 - K League (韓国語)
  • 金明輝 (@myonhi198158) - X(旧Twitter)

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